前回に続いてニーズに関するお話を。
ニーズを理解すると、商品の作り方や集客の方法に悩まなくなります。
よくやってしまいがちなのが、ニーズを単なる言葉としてとらえてしまうことです。
「髪を切りたい」というニーズに対して、「美容室のカット」というサービスを用意し、髪を切りたいと思っているお客さんを集めよう、という考え方ですね。
こうなると店の看板と、ホットペッパービューティーしか集客方法は無くなります。
Googleの検索広告なんか費用がかかりすぎて黒字にするのは難しいでしょう。
大事なことは、ニーズが生まれるストーリーを想定することです。
・パラレル型ニーズ調査
・時系列型ニーズ調査
この2つを意識することで、商品のバリエーションを増やし、集客の広さや時間的優位性を獲得していきます。
詳しくお話していきます。
ニーズは一瞬消える、だからニーズだけを追ってはいけない
ニーズは1人の人間の人生で、何度も生まれたり消えたりを繰り返します。
常に「〇〇したい」「〇〇が欲しい」という欲求を持っている人はいなくて、あるタイミングで「あ、〇〇が必要だ」と思いつくわけです。
そして、ニーズを満たしたり、忘れたり、あきらめたりします。
これがニーズの実態です。
例えば、髪が伸びると美容室に行きたくなります。
そして美容室に行って髪を切ってしまえば、「髪を切りたい」というニーズは消えてしまいます。
このように、人がある特定のニーズを持つのはほんの一瞬です。
「髪を切りたい」というニーズをその字面だけで追ってしまうと、商品開発も集客も簡易なものになってしまいます。
店の看板を出して、ホットペッパービューティーに掲載して、「カット ¥3000」と表示する程度のことしかできません。
お客さんとの接点が増えるほど集客は上手く行きます。
しかし、一瞬のニーズだけを追い求めていては、接点は一瞬にしかなりません。
ニーズには、それが生まれるストーリーがあります。
また、「髪を切りたい」というニーズの裏には「髪が伸びたから」なのか「結婚式に出席するために」なのか、とらえるべき理由があります。
ニーズだけを追わずに、その人がニーズを抱くに至ったストーリーを明確に把握しておく必要があります。
ニーズのストーリーを把握すれば、お客さんとの接点を増やし、商品を最適化することができる!
さて、ニーズをストーリーで把握して、集客接点を増やし、商品の価値を倍増させましょう。
ニーズをストーリーでとらえるには、以下の2つの方法があります。
・パラレル型ニーズ調査
・時系列型ニーズ調査
それぞれ見ていきましょう。
パラレル型ニーズ調査
まずはパラレル型ニーズ調査です。これは商品を開発する際の役に立ちます。
「髪を切りたい」「髪をセットしたい」というニーズの裏にある理由をすべて洗い出します。
例えば、
①「髪が伸びたから切りたい」
②「結婚式に参列するからセットしたい」
③「自分で切ったら失敗したから直してほしい」
④「夏休みだから髪を染めて、少し整えたい」
などなど、美容室に行く理由はたくさんありますね。
これらの理由をできるだけすべて書き出していきましょう。
複数のストーリーから生まれているニーズであることを意識するためにパラレル型ニーズ調査と呼んでいます。
ストーリーは違うのに、最終的には「髪を切りたい」「髪をセットしたい」という同じニーズに至っているのが面白いですよね。
これらたくさんのストーリーや理由があるのに「髪を切りたい人」に「カット¥3000」とだけ書いてメニューとするのは、ちょっともったいないです。
例えば、「今日は結婚式に参列するから美容室でセットしてもらおう!」という人がいたとします。
この人は以下の2つの商品のうち、どちらを購入したいと思うでしょうか。
①「カット&セット¥4500」
②「これから結婚式!キレイめ艶髪カット&セット¥6500」
私(男性ですが(笑))の場合だと①は予約するときに「結婚式に参加するためなんですが、やってもらえますか?」と聞かないと購入できません。
②だったら、ちょっと値段するけど、専用のメニューなんだからちゃんとやってくれるだろう!と思えます。
他にもいろいろ思いつきますね。
「学生限定!激安夏休みはっちゃけカラー&カット¥4500」
と書いてあったら、ちょっと明るい髪色にしたい子が注文しやすくなります。
他の美容室と比べて、7~8月だけ友達紹介キャンペーンをつけて、他店よりちょっと安くして出し抜いてしまえば地域でのシェアも取りやすいでしょう。
同じニーズに行きついたストーリーをパラレル思考で大量に想定しましょう。
そのストーリーに合わせた商品を考案すれば、他店よりもお客さんにとってグッと来る商品が思いつくはずです。
時系列型ニーズ調査
パラレル型で洗い出したストーリーを深く理解していきます。
ニーズが生まれるに至った経緯を想定することで、お客さんとの接点を持つ機会がどこにあるかを考えます。
つまり、集客チャンスが広がるということです。
先にお話した通り、ニーズは一瞬です。
「ニーズを持っている人を集客する」という発想だと、ニーズが生まれたほんの一瞬の間に、あなたの商品がその人の目の前に出てこなくてはいけません。
車を運転していてちょっと小腹がすいたときに、マクドナルドの看板が見えた、くらいの難しさがありますね。
「美容室 (駅名)」というキーワードで検索をしたお客さんを集客しようにも、競合がひしめいていて勝つのは至難の業です。
有利に集客をしたいのであれば、ニーズが生まれるまでのストーリーを想定しましょう。
そうすれば、ニーズを持っている間のほんの一瞬だけでなく、その前段階からお客さんと接触できる機会があることに気づけるはずです。
例えば、「結婚式のためのカット&セット」を販売するとします。
この場合、ニーズが生まれるまでのストーリーは以下のような感じです。
・結婚式の招待状が来る(あるいは結婚式に誘われる)←ニーズが生まれるストーリーの出発点
・招待状の返信をする
・結婚式に着ていくドレスを決める
・持っていくバッグや靴などを決める
・ご祝儀にいくら包むか決める
・友達と当日の待ち合わせ場所、時間を決める
・当日の髪のセットの予約をする←ここニーズ
結婚式に参加するために、これだけの準備をするわけですね。
ということは、準備の間のどこかで接触することができれば、
「当時の髪のセットについて、ご予約はお済ですか?」
と聞けるわけです!
アイディアベースですみませんが、集客方法をいくつか出してみましょう。
・コンテンツマーケティング:「招待状の正しい返信の仕方」の記事を書く
・クリーニング屋さんにドレスのクリーニング依頼をされた方に割引クーポンを配布してもらう
・コンテンツマーケティング:「結婚式参列者の正しい服装」の記事を書く
・コンテンツマーケティング:「ご祝儀いくらつつむのが正しいか」の記事を書く
・お店の看板に「結婚式前に友達との待ち合わせで使ってくれたら割引!」と書いてみる
・最終兵器!ホットペッパービューティーに結婚式用カット&セットのメニューを掲載する
ニーズを深く理解すれば、もっとたくさん出てきそうですし、行動力次第でまだまだクレイジーな集客ができそうですね。
このように、1つのストーリーを時系列に深堀していき、お客さんとの接点を探っていきます。
まとめ
パラレル型ニーズ調査で10種類のストーリーを見つけたとします。
そして、それぞれのストーリーを時系列型ニーズ調査から平均10段階の接点を見つけた場合、なんと100通りの集客経路が生まれます。
もし今まで看板に「カット¥3000」程度のことしか書いておらず、その他の集客経路をもっていないのだとすれば、100の集客経路の内どれか1つでも当たりの経路が生まれたら、売り上げは倍では済まないはずです。
というか100の集客施策を本気でこなしたら、1つしかあたりが生まれないなんてことはあり得ません(笑)
ただ、結局のところ行動力が物を言いますね。やる気がなければここまでやれないとあきらめてしまうでしょう。
やりがいのある仕事を選んで、行動力とモチベーションをつけて事業を成功させてください!
今回は以上です!